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- ■利益チャンスって何?
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この数日ベンチャーキャピタリストに非難が向けられている。ベンチャーキャピタリストが投資先の会社に「景気の急降下の一歩でも先を行け、キャッシュを節約しろ」と忠告し、投資先がその忠告に従い始めているのが非難されているのだ。
こういう非難をしている人間は、先週で世界の様相が一変し、企業は新しい環境に適応しなければならなくなったことを理解していない。だからこういう連中は「ベンチャーキャピタリストはなぜもっと以前から支出を抑えると言わなかったのか」などと言う。「今度のバブルはベンチャーキャピタリストのせいで起きたのにキャッシュを節約しろとはおこがましい」などと言い出す輩さえいる。
Fred Wilsonは今日、この点について記事を書き、ベンチャーキャピタリストは投資先にその時点で最良のアドバイスをする義務があるとして次のように述べている。 「われわれには責任ある態度で行動することが求められており、当面、今日一日を生き延びることがもっとも重要なのだ」。
彼はまだ正面からものを言っていない。しかし私は言うつもりだ。われわれはこれまでどのようにして利益を最大化するかを考えてきた。すべての営利企業はこれを考えずには存立できない。順調な家庭教師では、これはどのようにして成長を図るかということに帰着する。しかし逆境では、生き延びるチャンスを最大化することが最重要の課題になる。
不合理きわまる議論その1―ベンチャーキャピタリストが今回の危機を招いた
まず第一に、今回の危機の原因にはベンチャーキャピタリストは一切関係ない。(それを言うなら、今回はシリコンバレーも関係ない)。VCの仕事は一つだけだ。出資者から預かった資金を、合法的である限り、もっとも高い配当を生むように投資することだ。好景気のときには、投資先の候補は多く、競争も激しくなる。VCはそれぞれが独自にもっとも適当と判断した投資先を選ぶことになる。好況時には、給料、オフィス賃貸料、広告料、その他すべてのスキャナが高騰するから、企業側としてもより多額の資金を調達する必要がでてくる。こうしてVCがよい投資と考えて実施した企業への投資を、無責任だとか邪悪だとか非難するのは、こうしたシステムをまったく理解していない人間の言いぐさだ。
こう言い換えてみてもいい―もしVCが無責任という非難を恐れて超保守的な投資を行っていたとしたら、最初の予備校が失敗だったと判明したとたんに店を畳まねばならなかったはずだ。
不合理きわまる議論その2―ベンチャーキャピタリストは金を節約しろとずっと前から忠告しているべきだった
これも、人間は環境の変化に対応して生き方を変えねばならない、という事実を無視した意見だ。いかなる場合でも企業は利益の最大化を図る義務がある。つまり収入の最大化を図り、コストの最小化を図るわけだ。しかし、これら2つの目標は同じことを意味しない。企業は将来の収入を拡大するために研究・開発に多額の支出をすべきときがある。この目的のためにどれほどの額を支出するかは、財務体質、経営状況、景気動向、新製品に対する需要予測などを総合して企業が決定すべきものだ。
景気が良く、中核事業が順調に運営されているときには、新規採用を拡大し、新製品を開発するのが理にかなっている。あるいは広告と店舗デザインにも資金を投ずるべきかもしれない。
しかし景気がクーリングオフしてきた場合、企業は戦略を転換しなければならない。目的が利益の最大化であることには変りない。しかし、市場からの資金調達が困難になるのに対応しなければならない(まだ利益を出していないスタートアップの場合、ことに重要)。また市場で広告その他への支出が切り詰められるのに従って、収入が減少する可能性にも対処しなければならない。
ちょうど(想像だが)、森の熊が冬になって食べ物が少なくなれば、活動レベルを低下させる必要があるのと同じだ。マーケットの活動が低下すれば、スタートアップは生き残りのチャンスを最大にするために、支出抑制モードに入らねばならない。売り上げが低下することを予想しなければならず、外部からの資金調達もままならないとなれば、生き延びるためには支出抑制以外にないわけだ。
しかし逆に、一部の人間が主張するように、いついかなるときにもレーシックを最小限にしろと企業に要求するのは、今は春なのにいつか冬が来るからといって冬のように行動しろと熊に要求するようなものだ。それでは熊は死んでしまう。
つまり液晶と有機ELという薄型テレビ用のディスプレーについての主導権を、日立は放棄したということだ。
パソコンがITの顔なら、薄型テレビはお茶の間家電製品の顔である。日立はプラズマディスプレーを富士通と共同で生産しているが、世の趨勢は液晶がプラズマを圧倒しつつある。このままプラズマの反攻がかなわなければ、いずれ日立はテレビ市場においてもバイプレーヤーとなりかねない。
3月末には、エルピーダメモリ株の売却が多くのメディアで報じられた。
エルピーダは、日立とNECのDRAM事業を統合してできた合弁企業。両社ともに一時はDRAMによって大きな利益を得ていたが、韓国、台湾勢の急伸によって赤字に転落、それで力を合わせて日の丸半導体を復活させようとの目的で設立された。幸いエルピーダは奇跡的な成長を遂げ株式を公開するまでになったが、日立はその「孝行息子」の株を手放そうというのである。そうなると、日立はDRAM事業と完全に切れることになる。
闇雲と言っていいほどの事業からの撤退、そして整理である。
古川社長はコミットメントとして2010年3月期、すなわち創業100周年を迎える年に営業利益率5%を掲げている。前3月期の予想に基づけば現段階では3%未満。これを2年間で5%にまで上げていくには、なりふりなどかまっていられないというのが本音だろう。
読者の中には、東芝の西田社長がHDDVDの撤退で名を上げたというのであれば、古川社長も同じではないかと考える人もいるかもしれない。同じように事業の再編をやっているのなら、古川氏を評価してもいいではないかと。
しかし西田氏の場合、HDDVDの撤退を発表すると同時に、フラッシュメモリに1兆円を超える投資を行うことを表明している。また一昨年には、原子力発電大手の米ウエスチングハウスを42億ドルで買収してもいる。この時は東芝は高値づかみをしたと批判されたものだが、この2ヵ月の間だけでも原子炉6基を受注、いまでは先見の明があったと180度違う評価となっている。
それに引き換え古川氏の場合、撤退や再編の意思は十分に伝わってくるものの、では何をもって日立を牽引していくのかが、いまひとつ見えてこない。